外国人技能実習生の法的保護情報講習外部専門講師

平成22(2010)年7月1日施行の改正「出入国管理及び難民認定法」(以下「入管法」という。)には、法改正の目的として①新たな在留管理制度と不法就労の防止②外国人研修生への労働法令の適用等があり、その目的の達成の為、外国技能実習生に対する法的保護情報講習が義務付けされました。
平成29(2017)年11月1日に外国人技能実習法が改正されましたが、従来からの外国技能実習生に対する法的保護情報講習は引き続き義務付けられています。外部専門講師の要件は、従来、申請取次行政書士・社会保険労務士等で公益財団法人国際研修機構(以下「JITCO」という)の講習を修了したものとされていましたが、今後JITCOはこの講習は行わない方針です。法改正前からの外部専門講師は、新しい外国人技能実習法を勉強してそれを実習生に伝える必要があります。

公益財団法人国際研修機構(JITCO)名古屋駐在事務所にて、相談員として2016年4月から2018年2月までの約2年間、100件の企業への巡回指導訪問とそこで働く実習生との面談に係わってきた実績を生かし法的保護情報講習の外部専門講師を始めました。

外国人技能実習生の法的保護情報講習とは

(1)  目的

開発途上国等からの外国人技能実習生の保護を目的として、入管法の改正等により下記の研修 の座学の一部で実習生に対して1日間(8時間)で外部の専門講師より通訳を通して行われる講習。法的にはこの座学の講習を受講修了しなければ実務研修が行えないこととなっており、実務研修は 講習終了後に実習実施企業等との雇用契約での労働となり、労働保険・社会保険等の適用となり日本における労働者としての法律保護を受けることとなりました。これは今まで安い労働力と言うことで過酷な労働と最低賃金にも満たない条件で労働してきた外国人労働者を保護する目的と、人権保護をより 推進しようとするもので、外国人技能実習生制度の本来の目的である高度な技術・技能等の取得を 通じて、技能実習生の母国等での経済発展にも寄与するものです。

(2)座学(初期講習)の講習内容

  講習すべき科目

   ①日本語

   ②日本での生活一般に関する知識

   ③入管法、労働基準法、不正行為への対応方法その他技能実習生の法的保護に必要な情報 

   ④①から③に掲げるものを除くほか、日本での円滑な技能等の習得に資する知識

  上記のうち、第三者的立場である専門家によって行うのが③の法的保護情報に関する講座です。

  これにより受入れ企業等のコンプライアンスがこれまで以上に求められることになります。

(3)法的保護情報に関する講習の内容

① 3.5時間    制度と仕組み(入管法等)、不正行為への対応

② 3.5時間    労働条件、災害防止・健康確保

0.5時間    相談先及び公的保険等概要

③ 0.5時間程度 質疑応答

法的保護情報講習 授業プラン

1限目(8:30~9:20)

技能実習生手帳 新P26-27 旧P14-15

7.法令の適用等 日本に滞在する間の適用法令

技能実習法

出入国管理及び難民認定法

労働基準法、最低賃金法、労働安全衛生法

その他の法律 社会保険(健康保険や年金)労働保険、税金に関する法律

◎自己紹介 (技能実習生の〇〇名前 出身地 〇〇県の会社名・職種)

2限目(9:30~10:20) 外国人技能実習法

1.はじめに      技能実習手帳 新P12-13 旧P4-5

2.外国人技能実習制度 技能実習の流れ

             目標 新P14-15 旧P6-7

4.技能実習法について 【解説】技能実習法の概要 新P18-19 旧P8-9

           【解説】技能実習生に対する人権侵害行為 旧P10-11

5.外国人技能実習機構とは 新P20-21 旧P10-11

6.技能実習生の責務について 新P22-23 旧P12-13 

7.技能実習にあたっての心構え 新P24-25 旧P12-13 「ちゃんとしたい日本人」

3限目(10:30~11:20) 出入国管理及び難民認定法

1.入国管理行政

2.日本の出入国管理

適法に在留するための基礎知識

1)旅券

2)査証

ビザの種類(3種類)(1)就労、長期滞在(6種類) 高度専門職ビザ2

就業ビザ15、

一般ビザ5(文化活動、留学、研修、家族滞在、
      技能実習1号イ及びロ)特定ビザ4、外交ビザ、公用ビザ 

医療目的 医療滞在ビザ 

短期商用等、親族・知人訪問又は観光目的 短期滞在ビザ

4限目(11:30~12:20)

3.在留カード 出入国管理行政 新P30-31 旧P16-17

(1)出入国審査 (2)在留審査 (3)退去強制手続 (4)難民認定手続

旅券(パスポート)と在留カード 在留資格 

  1. 定められた範囲で就労が認められるもの(19種類)外交、公用、教授、芸術、宗教、報道、高度専門職経営、管理、法律・会計業務、医療、研究、教育、技術・人文知識・国際業務、企業内転勤、介護、興行、技能、技能実習、特定活動
  2. 就労が認めてられない在留資格(5種類)文化活動、短期滞在、留学(資格外活動)、研修、家族滞留
  3. 日本人と同じように就労活動に制限がない在留資格(4種類)永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者

在留資格の取り消しについて 退去強制事由について

11.あなたがすることができる「申告」について 

(1)技能実習法に基づく申告 新P32-33 旧P18-19違反例

(2)労働基準法に基づく申告 新P34-35 旧P20-21違反例

10.技能実習を行うことが困難になった場合 新P34-35 旧P20-21

質疑応答(12:20~12:30)

昼食(12:30~13:30)

5限目(13:30~14:20) 労働基準法、最低賃金法、労働安全衛生法

  14.労働関係法令に関すること 明示義務 新P40-41 旧P22-23 

   技能実習のための雇用契約書 誰と誰が契約したか?新P102 旧P24-25

   雇用条件書 新P103-106 旧26-29

雇用期間は? 更新の有無? 就業の場所は? 従事すべき業務は?始業・終業の
時刻は? 変形労働時間制? 交代制? 休憩時間? 1か月の所定労働時間? 年間所定労働時間数? 年間総所定労働日数?時間外労働の有無? 休日?

年次有給休暇? 基本賃金? 諸手当? 

割増賃金率? 賃金締切日? 賃金支払日? 賃金の支払方法? 労使協定控除?

社会保険労働保険の加入状況 厚生年金? 健康保険? 雇用保険? 労災保険?

雇い入れ時の健康保険 初回の定期健康保険

6限目(14:30~15:20)

賃金の支払い 新P107-108 旧P30-31

基本賃金 諸手当 1か月当たりの支払概算額 

控除する項目 税金 社会保険料 雇用保険料 食費 居住費 水道光熱費 

手取り支給額

B.解雇 やむを得ない事由と就業規則への明示 新42-43 旧32-33

(2)労働時間と休憩・休日 

(3)年次有給休暇 新P44-45 P34-35

(4)賃金の5原則

【解説】監理費について 新P46-47 旧P36-37

【解説】最低賃金について 

7限目(15:30~16:20)その他の法律 社会保険(健康保険や年金)労働保険

15.社会保険 医療保険 年金 脱退一時金 新P48-53 旧P38-43

16.労働保険 労災保険 雇用保険 新52-55 旧42-45

17.所得税・住民税 賃金計算の知識 新54-57 旧44-47

18.健康診断 新P58-59 旧46-47

8限目(16:30~17:20)

メンタルヘルスチェック

19.技能実習中の労働災害防止 新P58-61 旧P46-49

雇入れ時、作業内容変更時の安全衛生教育項目

20.日本での生活 新P64-75 旧P54-63

交通ルール 自転車のルール 生活上のルール・マナー

21.マイナンバー 新P74-75 旧62-63

◎各種相談・支援窓口 新P76-83 新64-77

緊急時に使う日本語 新P124-125 旧P90-91

実際の職場 朝礼・準備と休憩と作業終了後の片付・整理整頓

勤怠管理:出勤簿、タイムカード

給与明細書のチェックポイント 

最低賃金以上か?

基本給と割増賃金が正しく計算されているか?

社会保険料がキチンと引かれているか?

その他控除が協定どおり控除されているか?

質疑応答(17:20~17:30)

料金プラン

料金プランは下記のとおりです。

料金プラン(案)

外国人技能実習生の法的保護情報講習報酬は1回につき、24,000円(税・交通費別)です。

法的保護情報講習日誌 

タテマエとホンネの日本人・ちゃんとしたい日本人(2018年4月11日)

1か月1回ほど、外国人技能実習制度の法的情報講習の講師を行うことがあります。

 講習の内容は、ベトナム或いはフィリピンその他の国から来た外国人技能実習生に外国人技能実習法・入管法・労働法及び社会保険制度等の内容をテキストとして技能実習生手帳を使って1日45分×8コマの講習を行います。

 外国人技能実習制度についての説明の冒頭に、「タテマエとホンネの日本人、ちゃんとしたい日本人」の話をします。
多くの日本人は本音と建て前を上手く使い分けて暮らしています。
そして、その日本人は職場では「ちゃんとしたい」と思って働いています。
この「ちゃんとしたい」という思いは本音と建て前を超越した日本人の心構えであるということを説明します。

 最初に技能実習生に説明する内容は、外国人技能実習制度においてあなた達は、日本で修得した技能等を、帰国後にその技能を生かし、自国の産業の発展に(寄与)活躍してもらうことを目的としています。⇒⇒⇒これは、あなた達に取ってはタテマエですね。
あなた達のホンネは、日本に稼ぎに来たものと推測します。
自国で6か月間日本語講習を受け、時間とお金を使って日本に来たので稼げなければ採算が合わない。
そういった実習生に実際はどうかの説明をします。

最低賃金の時給を使って1か月の基本給の給与計算をして、そこから、税金・社会保険料の法定控除と家賃・光熱水道費等のその他控除を差っ引きます。
計算結果は、手取りで約10万円程度しかならないということを話します。
すると、すごくがっかりします。
自国ではおそらく手取り15万円以上か、もっと稼げるという話を聞いて来たのだろうと思います。
(残業代は別だとフォローはしますが、残業の無い実習先もあるので残業代込みの手取りの金額の話は避けます。)

 また、雇入れる企業(実習実施機関)にとっても、人手不足を補う安価な労働力として技能実習生の雇入れを考えています。
多くの実習実施機関の経営者の方の本音はそうですが、実習生と企業(実習実施機関)の間に立つ監理団体がパンフレット或いはホームページで安い外国人の雇用ができる制度だと思わせるような表現をするとすぐに外国人技能実習機構から削除を求められます。
(そういった表現はご法度なのだ。)

技能実習生を雇うためには「技能実習計画書」の認定を受け、その計画書に則って技能を伝えなければならない。
外国人技能実習法どおりにしなければ、技能実習生を雇入れることはできない。
というのが日本の法律です。

 次に、実習生に入管法の話をします。
日本の法律では「技能実習生」という在留資格で入国した場合、外務省が発行するビザの種類は、留学とか研修と同じ一般ビザです。
就労(ワーキング)ビザではありません。(この話は、入管法改正以前の記述です。現在は技能実習生のVISAは16.技能実習の就労ビザにて入国しています。)
「技能実習生」は就労では無いという「タテマエ」で日本に入国しています。
例えば、「留学生」という一般ビザで入国した場合、日本で仕事をすることは禁じられていますが、「資格外活動許可」を受けることによって週に28時間以内の就労が認められています。
しかし「技能実習生」に対するそのような手続きはありません。
ですから技能実習生の皆さんは入国の際に認定された「技能実習計画書」に則り、日本で技能を習得して、自国に帰って自国の産業の発展に(寄与)活躍しなければいけません。
但し、企業(実習実施者)で技能実習を受ける場合、就労ではありませんが、日本の労働法・そのほかの法律の適用を受けます。

 タテマエとホンネの話はあなたたちの国にもあることだと思います。
日本人も本音と建て前を上手に使い分けて暮らしています。
ただ日本の職場で働く人々には、お金を稼ぐとか、法律を守らなければならないとかいう本音と建て前よりも「ちゃんとしたい」という気持ちで仕事しています。
「ちゃんとしなければ」と思って仕事をしている人が大半です。
実習生のみなさんも、この「ちゃんとしたい日本人」の気持ちを理解して職場で仕事をしていただきたいと思います。

 最後にひとつ付け加えたいことがあります。
みなさんを雇入れた実習実施機関・企業の経営者の方は、いざ、みなさん(外国人技能実習生)を雇った後に気付きます。
最低賃金で雇えると思っていたけど、監理費とか実費負担ですが往復の航空券とか講習費用とか、意外と掛かるなあ。
これだと、安くつくと思ったけれど、手間などを考えると新規に日本人を雇うのとあまり変わらない費用が掛かるなあ・・・。と、

ただ、もうひとつの考え方をする経営者の方も見えます。
「今度来た彼(彼女)は、すごく素直で性格が良くて勉強熱心の子だから、しっかりとこの会社で技術を覚えてもらって、自国へ帰ってからも立派に仕事を続けてもらいたい。
帰国し自分で事業を始めるときには、ここで使わなくなった機械とか重機を送って支援したい。」
と、以前、経営者の奥様から聞いたことがあります。
みなさんも、こういうふうに言われる先輩を見習って頑張って欲しいと思います。
その為には、しっかり働くことは当然ですが、日本語でコミュニケーションを取って、信頼されるようになってください。
帰国するまでに日本語検定N-3の資格を取得してください。
「ちゃんとしたい日本人」は、頑張る人が好きです。
みなさんの頑張りは、必ず実習先の方々に伝わります。
頑張ろうね!

 

  法的保護情報講習の技能実習生の累計が2019年末に千名を超しました!
  〇 2018・2019年法定保護情報講習実施表
月・日 場所 ベトナム 中国 フィリピン ミャンマー タイ インドネシア ネパール 日計
2018 4月10日 津島市 不明  
5月29日 津島市 7 3 4         14
6月25日 津島市 12   12         24
7月27日 津島市 17   13         30
8月24日 津島市 不明
9月21日 津島市 8   6         14
10月26日 津島市 13   27       3 43
11月26日 津島市 18   6         24
12月28日 津島市 7   7 3     2 19
合計 82 3 75 3 0 0 5 168
2019 1月11日 名古屋市緑区           4   4
1月28日 津島市 9   7         16
2月6日 南知多町 6 35   3       44
2月28日 津島市 9   6         15
3月14日 南知多町 20 11   8 6     45
3月27日 津島市 3   8         11
4月11日 南知多町 23 26   2       51
4月22日 津島市 7   7         14
5月16日 高浜市           5   5
5月21日 南知多町 18 18   10 3     49
5月23日 津島市 14   6         20
5月31日 南知多町 18 17   10 3     48
6月12日 大府市 3             3
6月21日 津島市 39   15         54
7月22日 津島市 15   20         35
7月25日 南知多町 2 18   19 16     55
8月1日 大府市 7             7
8月22日 津島市 4   9         13
8月29日 南知多町 14 40   8 4 3   69
9月11日 大府市 2 3           5
9月20日 津島市 13   12         25
9月27日 南知多町 21 21 14 16       72
10月8日 南知多町   1           1
10月22日 津島市 12   26       3 41
10月28日 南知多町 12 12   11       35
11月4日 南知多町           32   32
11月25日 津島市 8   13         21
12月2日 南知多町 27             27
12月3日 大府市 8             8
12月9日 南知多町   50           50
12月23日 津島市 14   9         23
合計 328 252 152 87 32 44 3 898
法的保護情報講習の技能実習生の累計が2019年末に千名を超しました!
2018年には人数が不明な日がありますが、2019年待つには、千名を超したのは間違いありません。
講習内容も充実して、2019年からは、プリント・資料を独自に作成して技能実習手帳と併せて講習に活用しています。
一番実習生にわかってもらいたいことは、失踪しても良いこと何も無いということです。
何故、失踪者が出るのか考える時間を作って、一緒になって考える授業を行っています。
最後に、日本語学習の必要性を理解してもらい、日本語ボランティアの探し方を伝授します。
3年・5年の技能実習生活を充実して過ごしていただき、
帰国しても・また来日しても立派な将来を築けるよう一生懸命教えます。