概要
2017年11月1日施行の外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律(以下:外国人技能実習法)の法25条第1項第5号により、監理事業を行おうとする者(監理団体)は、外部役員を置いていること又は外部監査の措置を講じていることが義務付けされました。
そのうちの外部監査人を置く方法(外部監査の措置)として、外部監査人(法人も可)は、実習実施者に対する監査等の業務が適正に実施されているかの監査を、法人外部からの実施をすることが監理団体に義務付けされました。
- 外部監査人は、過去3年以内に指定された講習を受講したものでなければならない。
- 外部監査人は、下記の①から⑨までに相当する者及び法人であって監理団体の許可の欠格 事由に該当する者、個人であっては監理団体の許可に係る 役員関係の欠格事由に該当するものであってはならない。
- 外部監査人は、監理団体の各事業について監査等の業務の遂行状況を3か月に1回以上確認。その結果を記載した書類を作成。
- 外部監査人は、監理団体が行う実習実施者への監査に、監理団体の各事業所につき1年に1回以上同行して確認。その結果を記載した書類を作成。
① 実習管理を行う対象の実習実施者又はその現役若しくは過去5年以内の役職員 ② 過去5年以内に実習監理を行った実習実施者の現役又は過去5年以内の役職員 ③ ①②の者の配偶者又は二等親以内の親族 ④ 申請者(監理団体)の現役又は過去5年以内の役職員 ⑤ 申請者(監理団体)の構成員(申請者が実習監理する団体監理型技能実習の職種に係る事業を営む構成員に限る。)又はその現役又は過去5年以内の役職員 ⑥ 傘下以外の実習実施者又はその役職員 ⑦ 他の監理団体の役職員 ⑧ 申請者(監理団体)に取次ぎを行う外国の送出機関の現役又は過去5年以内の役職員 ⑨ 過去に技能実習に関して不正等を行った者など、外部役員による確認の公正が害されるおそれがあると認められる者。 |
1.技能実習制度が見直しとなった背景
外国人技能実習制度は、開発途上地域等の経済発展を担う「人づくり」協力するという制度趣旨を徹底するため、管理監督体制を強化するとともに、技能実習生の保護を図るため。 |
見直しに大きく影響を与えたのは、この外国人技能実習制度が、アメリカ国務省の人身売買報告書でTier2「人身売買撲滅のための最低基準を十分に満たしていないが、満たすべく著しく努力している」国家に分類され、国際連合人権理事会の専門家による訪日調査では制度を廃止し、雇用制度に変更すべきと報告された。ことも背景になっています。
2.見直しの内容
現行 | 見直し後 |
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また、上記の見直しに加え技能実習制度の拡充策として、優良な実習実施者・監理団体に限定して、第3号技能実習生の受入れ(4年~5年目の技能実習の実施)を可能とする。等の見直しがなされました。
3.監理団体の許可基準
監理業務を行おうとする者は、主務大臣の許可を受けなければならないこととされており、当該許可に当たっては、許可基準が設けられ、当該許可基準に適合しなければ許可を受けることができない。(法第23条及び第25条)ことになりました。
1.営利を目的としない法人であること 2.監理団体の業務の実施の基準(下記Ⅰ~Ⅳが代表例)に従って事業を適正に行うに足りる能力を有すること Ⅰ 実習実施者に対する定期監査 ア 技能実習の実施状況の実地確認 Ⅱ 第1号の技能実習生に対する入国後講習の実施 Ⅲ 技能実習計画の作成指導 Ⅳ 技能実習生からの相談対応 3.監理事業を健全に遂行するに足りる財産的基礎を有すること 4.個人情報の適正な管理のため必要な措置を講じていること 5.外部役員又は外部監査の措置を実施していること 6.基準を満たす外国の送出機関と、技能実習生の取次ぎに係る契約を締結していること 7.優良要件への適合〈第3号技能実習の実習監理を行う場合〉 8.1~7のほか、監理事業を適正に遂行する能力を保持していること 下記を満たさない場合は、監理事業を適正に遂行する能力があるとは判断されない。 ・監理費は、適正な種類及び額の監理費をあらかじめ用途及び金額を示して徴収(法第28条) |
4.今後の監理団体としての注意点
上の表の文字列下の下線部分は、昨年(2017年)11月1日施行の新制度における変更点です。
特徴的なのは、監理団体が行うべき義務及び条件が厳しくなっていることです。2018年3月8日現在で技能実習期間が5年間の一般監理事業者数は、全国で701事業者、技能実習期間が3年間の特定監理事業者は1272事業者、合計1972事業者になります。それぞれの事業者が許可を受けていますので、外部役員なり、外部監査人を各監理事業者が定めていることと思います。
- 法令では外部役員及び外部監査人は、監理団体の各事業について監査等の業務の遂行状況を3か月に1回以上確認。その結果を記載した書類を作成することとなっています。ということは、2017年11月1日から12月末までに許可を受けた監理団体は、2018年3月末時点で、すでに外部監査を実施していなければ3か月に1回以上という外部監査を行っていないことになります。実施していない監理団体は、外国人技能実習機構の実施検査時に指摘を受ける可能性があります。
- 監理団体には、昨年(2017年)11月1日施行の新制度における変更点により、様々な義務が課されました。3か月に1回以上、実習実施者(企業・使用者)の定期監査につき、次のアからオまでの内容が義務付けされました。
ア 技能実習の実施状況の実地確認
イ 技能実習責任者及び技能実習指導員から報告を受けること
ウ 在籍技能実習生の4分の1以上との面談
エ 実習実施者の事業者における設備の確認及び帳簿書類の閲覧
オ 技能実習生の宿泊施設等の生活環境の確認 - これらの業務を含めた外部監査を行うため、外部監査報告書・外部役員確認書により、外部監査事項として監理費で5項目、業務で14項目、書類で9項目、保護で5項目、その他で2項目について問題の有・無について外部監査を行い、法令違反の有無等、その他監理事業を実施するに当たっての問題、課題等をチェックが3か月に1回以上義務付けされ。また、年に1回以上、同行監査を行い、外部監査報告書(同行監査)にて報告することが義務付けされました。
5.外部監査を行うに当たっての必要な条件
外部監査の考え方としてふたつの考え方があります。ひとつはとりあえず行ったという外部監査報告書があれば良いという考え、もうひとつは、外部監査を通じて、監理団体及び実習実施者を良い方向にもっていこうとする考え方です。 良い方向にもって行く考えでは、外部監査を行うに当たっての必要な条件は、外国人技能実習制度を熟知しているという要件が必要です。外国人技能実習機構のホームページの監理団体-様式等のダウンロードで様々な様式がダウンロードできます。その一つ一つが何を意味しているかが分かる外部監査人に外部監査を依頼してください。 外部監査人は指定された講習(監理責任者等講習)を受講した者でなければならないと規定されています。 ただ、講習を受講しただけのあまり外国人技能実習制度に疎い社会保険労務士が本当の外部監査をするのは人にもよりますが荷が重いかもしれません。 すでに2000弱の監理団体が外国人技能実習機構から許可を受けています。ということは約2,000人の外部役員及び外部監査人が登録されています。 2017年11月から12月末までに許可を受けた事業者については、すでに1度目の外部監査が終了したことと思います。 監理団体役職員の方はその外部監査が外国人技能実習機構の実施検査に耐えられるか確認してみてください。 優れた外部監査人による外部監査が、よりよい監理団体への道しるべになります。 |
社会保険労務士として開業(2016年2月)して3年。また、公益財団法人国際研修機構(JITCO)名古屋駐在事務所にて、2年間相談員として一昨年(2016年)4月から今年(2018年)2月まで、約2年間、企業への100件の巡回指導訪問と1000件の2号移行申請書の確認作業に係わってきました。この時期はちょうど新制度の法案成立から施行の時期と重なります。
新制度と監理団体が行うべき業務内容についての理解は誰にも負けません。
是非、実地検査が怖くない監理団体を一緒に育成しましょう。
6.料金プラン
料金プランは下記のとおりです。 料金プランは下記のとおりです。 料金プラン1(年5回プラン) 外部監査委託報酬は 料金プラン2(毎月プラン) 毎月1回、年に12回の外部監査の業務及び実習実施者への同行監査を行うものとする。 外部監査委託報酬及び同行監査は1回につき、30,000円(税・交通費別) 但し、監理団体からの要請により、上記回数以上の外部監査を行った場合の追加の報酬額は、1回につき、30,000円(税・交通費別)とする。 |
7. スケジュール
2018年3月から外部監査を開始しています。