2019年4月6日 グリーンブック
遅くなりましたが、見たい映画のひとつ「グリーンブック」を見てきました。人種差別がテーマです。黒人ジャズピアニストとイタリア系白人運転手が、人種差別の色濃く残る1960年代のアメリカ南部の旅をする実話が元にした映画です。
ご存じのようにアカデミー作品賞、最優秀助演男優賞、最優秀脚本賞の3冠を達成しました。主演の粗野で無教養ながら人間的魅力をもつ用心棒トニー・リップ役のビゴ・モーテンセンは、最初のうちは観る人を苛立たせ、腹の立つ役回りを見事に演じていました。やはり、前半のこの苛立ちが、後半のスカッとした気持ちにつながったのだと感心しました。最優秀脚本賞だけのことはあるよね。勿論、ドクター・シャリ―役のマハーシャラ・アりは、最優秀助演男優賞に相応しい演技でした。
単なる、差別のち友情物語ではなく、深く考えさせられる内容でした。最終日、絶対に黒人には食事をさせないレストランでの演奏をキャンセルして、黒人の集まるバーでジャズを演奏したあと高揚した二人を襲おうと車の陰で隠れている黒人に対し、トニー・リップは銃を上に向かって打って黒人たちを追い払い、「酒場では現金を見せるのはあぶない」とドクターシャリに注意した場面、ドクターシャリはたぶんホモでカーネギーホールの上で優雅な生活を送っているのですが、「黒人でも無く、白人でも無いいったい私は何なんだ」と雨の中で叫んだときは考えさせられました。ただ、ひとりの分かり合える友がいればそれだけでちゃんと生きていけるものだとも思いました。