外国人技能実習制度 外部監査人及び法的保護講習外部専門講師を追加しました (2018-04-05)

タテマエとホンネの日本人・ちゃんとしたい日本人

法的保護情報講習日誌

      タテマエとホンネの日本人、ちゃんとしたい日本人   2018/4/11

 1か月1回ほど、外国人技能実習制度の法的情報講習の講師を行うことがあります。

 講習の内容は、ベトナム或いはフィリピンその他の国から来た外国人技能実習生に外国
人技能実習法・入管法・労働法及び社会保険制度等の内容をテキストとして技能実習生手
帳を使って1日45分×8コマの講習を行います。

 外国人技能実習制度についての説明の冒頭に、「タテマエとホンネの日本人、ちゃんと
したい日本人」の話をします。
多くの日本人は本音と建て前を上手く使い分けて暮らしています。
そして、その日本人は職場では「ちゃんとしたい」と思って働いています。
この「ちゃんとしたい」という思いは本音と建て前を超越した日本人の心構えであるとい
うことを説明します。

 最初に技能実習生に説明する内容は、外国人技能実習制度においてあなた達は、日本で
修得した技能等を、帰国後にその技能を生かし、自国の産業の発展に(寄与)活躍しても
らうことを目的としています。⇒⇒⇒これは、あなた達に取ってはタテマエですね。
あなた達のホンネは、日本に稼ぎに来たものと推測します。
自国で6か月間日本語講習を受け、時間とお金を使って日本に来たので稼げなければ採算
が合わない。
そういった実習生に実際はどうかの説明をします。

 最低賃金の時給を使って1か月の基本給の給与計算をして、そこから、税金・社会保険
料の法定控除と家賃・光熱水道費等のその他控除を差っ引きます。
計算結果は、手取りで約10万円程度しかならないということを話します。
すると、すごくがっかりします。
自国ではおそらく手取り15万円以上か、もっと稼げるという話を聞いて来たのだうと
思います。
(残業代は別だとフォローはしますが、残業の無い実習先もあるので残業代込みの手取り
の金額の話は避けます。)

 また、雇入れる企業(実習実施機関)にとっても、人手不足を補う安価な労働力として
技能実習生の雇入れを考えています。
多くの実習実施機関の経営者の方の本音はそうですが、実習生と企業(実習実施機関)の
間に立つ監理団体がパンフレット或いはホームページで安い外国人の雇用ができる制度だ
と思わせるような表現をするとすぐに外国人技能実習機構から削除を求められます。
(そういった表現はご法度なのだ。)

技能実習生を雇うためには「技能実習計画書」の認定を受け、その計画書に則って技能を
伝えなければならない。
外国人技能実習法どおりにしなければ、技能実習生を雇入れることはできない。
というのが日本の法律です。

 次に、実習生に入管法の話をします。
日本の法律では「技能実習生」という在留資格で入国した場合、外務省が発行するビザの
種類は、留学とか研修と同じ一般ビザです。
就労(ワーキング)ビザではありません。
「技能実習生」は就労では無いという「タテマエ」で日本に入国しています。
例えば、「留学生」という一般ビザで入国した場合、日本で仕事をすることは禁じられて
いますが、「資格外活動許可」を受けることによって週に28時間以内の就労が認められ
ています。
しかし「技能実習生」に対するそのような手続きはありません。
ですから技能実習生の皆さんは入国の際に認定された「技能実習計画書」に則り、日本で
技能を習得して、自国に帰って自国の産業の発展に(寄与)活躍しなければいけません。
但し、企業(実習実施者)で技能実習を受ける場合、就労ではありませんが、日本の労働
法・そのほかの法律の適用を受けます。

 タテマエとホンネの話はあなたたちの国にもあることだと思います。
日本人も本音と建て前を上手に使い分けて暮らしています。
ただ日本の職場で働く人々には、お金を稼ぐとか、法律を守らなければならないとかいう
本音と建て前よりも「ちゃんとしたい」という気持ちで仕事しています。
「ちゃんとしなければ」と思って仕事をしている人が大半です。
実習生のみなさんも、この「ちゃんとしたい日本人」の気持ちを理解して職場で仕事をし
ていただきたいと思います。

 最後にひとつ付け加えたいことがあります。
みなさんを雇入れた実習実施機関・企業の経営者の方は、いざ、みなさん(外国人技能実
習生)を雇った後に気付きます。
最低賃金で雇えると思っていたけど、監理費とか実費負担ですが往復の航空券とか講習費
用とか、意外と掛かるなあ。
これだと、安くつくと思ったけれど、手間などを考えると新規に日本人を雇うのとあまり
変わらない費用が掛かるなあ・・・。と、

ただ、もうひとつの考え方をする経営者の方も見えます。
「今度来た彼(彼女)は、すごく素直で性格が良くて勉強熱心の子だから、しっかりと
この会社で技術を覚えてもらって、自国へ帰ってからも立派に仕事を続けてもらいたい。
 帰国して自分で事業を始めるときには、ここで使わなくなった機械とか重機を送っ
て支援したい。」
と、以前、経営者の奥様から聞いたことがあります。
みなさんも、こういうふうに言われる先輩を見習って頑張って欲しいと思います。
その為には、しっかり働くことは当然ですが、日本語でコミュニケーションを取って、信
頼されるようになってください。
帰国するまでに日本語検定N-3の資格を取得してください。
「ちゃんとしたい日本人」は、頑張る人が好きです。
みなさんの頑張りは、必ず実習先の方々に伝わります。
頑張ろうね!

 

CCF20180319監理責任者等講習受講証明書